株式会社MFS
MFS独自開発計量モデルを使った、
今後35年間の住宅ローン金利予測に関するスペシャルレポート
〜変動金利型住宅ローン金利の上昇は0.8%程度〜
フィンテックを活用した住宅ローンコンサルティングサービス「モゲチェック・プラザ」を展開する株式会社MFS(本社:東京都千代田区、代表取締役CEO:中山田 明、以下「MFS」)は、独自に開発した住宅ローン金利予測モデルを使って、現在の市場金利から想定される今後35年間の住宅ローン金利予測に関するスペシャルレポートを発表します。
ハイライト
●現在の住宅ローン金利は、世界的な株安を受けて、変動金利は引き続き低下傾向、昨年上昇した固定金利も直近は急速に低下し、ほぼ一年前の水準に戻っている状況
●今後の変動金利型住宅ローンの金利は、直近8年間の金利水準は変わらず、9年目から21年目までにかけて現在より約0.77%上昇し、その後やや低下すると予測
●住宅ローンユーザーが金利タイプを選ぶ場合、現在の変動金利とフラット35の金利差が0.8%程と、今後35年間の金利予測上昇幅0.77%より小さいため、当初金利の低い変動金利を選んだ方が良い。ただしこれは属性が良いユーザーを前提とした金利差のため、変動金利の水準が1%近くなるユーザーに関してはフラット35を選ぶという選択肢もある
低金利環境下、住宅ローンは変動金利で借りている人が多く、かつ、その返済が家計の支出の大きな部分を占めるため、今後住宅ローン金利がどう動くのかは住宅ローンを利用する人にとって関心の高いテーマです。バブル以前8%台の金利の時代もあったため、将来金利が大きく上がるのではないかと不安を感じている人も多いと思います。ただ長期の金利予測は難しく、これまで特別な根拠なく金利動向に関する議論が行われてきました。
MFSでは、そのような感覚的な議論ではなく、理論的な裏付けのある議論をすべく、金融工学を活用して資本市場で取引されるスワップ・レートから将来の住宅ローン金利を予測する計量モデルを開発しました。本レポートでは当該モデルから導かれる最新の住宅ローン金利予測についてレポートします。
住宅ローン金利の推移
昨年7月の日銀金融政策決定会合において長期金利変動幅の拡大が容認され、長期金利は一時上昇傾向にありました。しかしその後、米中貿易摩擦に端を発して世界的な株安が進行し、結果として長期金利は低下しています。当社が発表している住宅ローン金利インデックスの過去15ヶ月の推移は、以下の通りです。変動金利は引き続き低下傾向、固定金利は一時上昇基調にあったものの直近は急速に低下し、ほぼ一年前の水準に戻っています。
住宅ローン金利の予測
当社が開発した金利予測モデルによる今後35年間の変動金利型住宅ローンの金利(当初金利を0.525%とした場合)は、以下の通りです。今後8年間金利水準は変わらず、9年目から21年目までにかけて現在より約0.77%上昇し、その後やや低下する見込みです。
短期的見通し
当社の金利予測モデルでは6ヶ月円LIBOR(※)が0.275%に達するまで短期プライムレートの上昇はないと仮定しており、モデル上6ヶ月円LIBORのフォワードレートが0.275%に達するのは9年先となっています。したがって短期金利は当面上がらないというのが金利予測モデルの結論です。実際、昨年11月以降、米国の利上げペースの鈍化や世界的な株式相場の軟化を受けて金利が低下しています。
日銀の金融緩和政策も継続を余儀なくされており、当面金利が上昇する要素は見当たりません。少子高齢化で労働人口が急速に減少する一方、社会保障負担が急増している国で、金融政策だけで2%の物価上昇率を実現するほどの需要喚起はできないのでは、というのが当社の見方です。少子高齢化から来る強力なデフレ圧力に対し、現在の金融緩和策で何とかデフレ進行を止めているというのが実情ではないでしょうか。
この本質的な問題が解決できない限り、つまり相当程度の期間、インフレターゲットの達成はできず、金融緩和は継続し、住宅ローン金利も上昇も上がらないと考えています。
※:ロンドン市場における資金取引の銀行間平均貸出金利
長期的見通し
先月行われた日銀の金融政策決定会合では、物価見通しが下方修正され、今後も金融緩和政策が継続されることが確認されました。さらに強気だった株式市場が変調をきたし、世界的な景気鈍化が鮮明になっています。これを受けて長期金利も低下を始めており、昨年半ばの金利上昇分を完全に失った形です。
当社の金利予測モデルでは9年先に6ヶ月円LIBORが0.275%に達し、短期プライムレートは上昇を開始しますが、約21年先に0.77%程度の上昇でピークを打ち、その後若干低下する動きとなっています。長期的には金利は上昇するものの、その上昇幅は非常に限定的です。そもそも成熟し少子高齢化を迎えた国が2%の物価上昇率を達成するのは非常に困難ではと考えています。8%台の金利はもとより、3-4%台といった金利レベルも移民政策による人口増加など、少子化に対する抜本的な解決策が取られない限り起こりえない水準だと言えます。
金利タイプの選択
では、これまでの金利予測を踏まえてどの金利タイプを選ぶべきでしょうか。現在各金利タイプの金利水準は、変動金利が0.5%台、10年固定が1.2%台、フラット35が1.3%台となっています。変動金利とフラット35の金利差が0.8%程ですので、当社の金利予測モデルが示す今後21年かけて0.77%金利が上昇するシナリオを前提とすると、当初金利が低い変動金利を選ぶべきでしょう。ただ、0.5%台の金利は、ある程度属性の高い住宅ローン利用者に適用される金利水準なので、金融機関の審査結果によっては同じ変動金利でも1%近い金利になる人もいます。そのレベルであれば最初から1.3%で金利が固定されるフラット35を選ぶという選択肢もあるかもしれません。
いずれにしろ金利予測モデルでほとんど金利上昇が見込まれない当初10年間の金利を固定化する10年固定を選ぶのは賢明な選択ではないでしょう。
MFSについて
MFSは、住宅ローンおよび不動産投資ローン媒介サービスのリーディングカンパニーとして、住宅/不動産投資ローンコンサルティングサービス「モゲチェック・プラザ」を運営し、ローン借り入れ・借り換えのアドバイスやローン申し込み手続きのサポートを提供しています。また、テクノロジーを駆使した住宅ローンマッチングサービス「モゲチェック」や住宅ローンクレジットスコア「モゲスコア」といったWebサービスも展開しています。これまでに、借り換え相談件数5,000件、住宅ローン/不動産投資ローン取扱額(元本累計)200億円、金利削減額平均368万円、満足度94%といった実績を上げています。
金利予測計量モデルについて
MFSは市場で取引されている金利デリバティブ商品のデータを分析することで、資本市場が将来金利をどう予測しているかをモニタリングしています。
具体的には、ロンドン市場における資金取引の銀行間平均貸出金利であるLIBOR金利を分析することで、今後35年間の市場金利を予測し、その結果を踏まえて変動金利型住宅ローンの基準となる短期プライムレートの将来金利を算出しています。
詳しい分析方法はこちらをご覧ください:https://www.mortgagefss.jp/pressrelease/706/
株式会社MFS概要
代表者:代表取締役CEO 中山田 明
所在地:東京都千代田区大手町1-6-1 大手町ビル2階 FINOLAB
事業:住宅ローン相談窓口「モゲチェック・プラザ」の運営
ウェブサイト:https://www.mortgagefss.jp/
代表取締役CEO 中山田 明のご紹介(本レポート分析者)
1991年東京大学経済学部卒
1999年ベアー・スターンズ証券会社にて日本初の住宅ローン証券化案件を担当
2001年新生銀行にてSBIグループと日本初のモーゲージバンクビジネスを開始
2006年新生銀行にて楽天と合弁会社(楽天モーゲージ)を設立。フラット35を対象とするモーゲージバンクビジネスを開始
2011年SBIモーゲージ(現アルヒ株式会社)入社。2012年よりCFOを歴任
2014年10月よりMFS代表